退職金は、老後の生活設計に欠かせない大切な柱となりますが、退職金にも税金がかかることをご存じですか?退職金を払う企業側はもちろん、退職者も理解しておきたいところです。今回は税理士法人ストラテジーより退職金にかかる税金の仕組みや計算方法について紹介していきます。
そもそも、「退職所得」とはどういったもの?
退職金は税法上「退職所得」と呼ばれます。退職時に支払われる一時的な賃金で、社会保険制度などにより退職に基因して支給される一時金、適格退職年金契約に基づいて生命保険会社又は信託会社から受ける退職一時金なども退職所得とみなされます。また、解雇予告手当や、勤務先の企業の倒産により定期賃金や退職金が未払の場合、その一部を未払賃金立替払制度により国から受け取った場合も「退職所得」に分類されます。
税金の計算方法
◆「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出している場合
計算式
(収入金額(源泉徴収前の金額)−※退職所得控除額)×1/2=
課税対象になる退職金の金額
※退職所得控除額:勤続年数が20年以下の場合→40万円×勤続年数
勤続年数が20年を超える場合→800万円+70万円×(勤続年数-20年)
注:勤続年数に1年未満の端数がある場合、たとえ1日でも1年として計算します。
例えば、勤続25年で2,000万円を受け取った場合には2,000万円から退職所得控除額の1,150万円を差引き、残りの850万円を2分の1にした425万円に対して税率をかけます。
また住民税は通常の場合、その年の所得に対して翌年納めますが、退職金の住民税は現年課税といって、退職金を受け取ったとき、退職金から差し引いて、翌月10日までに納める仕組みになっています。(退職所得×10%)
また、障害者になったことを直接の原因として退職した場合には、通常の退職所得控除額にさらに100万円が上積みされます。
◆「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合
注意していただきたいのは、上記でご説明した計算式はあくまでも「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合です。こちらを提出することで、確定申告を行わなくても所得税率を通常よりも低い税率で計算してくれます。しかし、提出していない場合、退職所得控除額も使えない上に、一律で20.42%の所得税率が源泉徴収されることになってしまいます。「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出し忘れてしまった場合には、確定申告をすることで、退職金の所得税額の精算は可能です。しかし正確な納税並びにスムーズな退職のためにも、退職時にはきっちりと「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出しましょう。
まとめ
今回は、一般的な退職の場合をご説明しました。法人役員で5年以下の勤務で退職した場合など、計算方法が異なる場合があります。また、年の途中で退職した場合、確定申告をすると税金が還付される場合もあります。会社に勤めていた間は、確定申告の代わりに、会社が年末調整をして税金を精算してくれていました。退職後は正確な納税額を納めるために自分で確定申告をしなければなりません。気になる方は、最寄りの税務署へ相談されるのも良いですが、申告時期は大変混み合うので、早めの相談を心掛けましょう!
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