税理士を変更したら会計データはどうなる?引継ぎの注意点もご紹介

これまで依頼していた税理士から、新しい税理士へ変更する場合、会計データはどのように管理すればよいのでしょうか?
引継ぎで渡す会計データを前任の税理士が用意できるのか、その伝え方なども気になるところです。
本記事では、税理士を変更した場合の会計データの扱い方や注意点、対策などの基本を解説します。
皆様のスムーズな税理士の引継ぎのお役に立てましたら幸いです!
熊本創業融資相談室では、銀行様からのご紹介や、ホームページより、税理士変更に関するご相談を多くいただくため、税理士変更サポートをご用意しています。
全国対応させていただきますので、税理士変更をご検討の方はぜひご覧ください!
今すぐお困りの方は、無料相談も承っております。お気軽にご相談くださいませ。

そもそも会計データは引継ぎに必要?
税理士を変更する際に、以前まで使っていた会計データは非常に重要です。
税理士を変更する際は、これまでの会計処理について引継ぎをしてもらうことになります。
引継ぎといっても、会社の経理担当社員のように、新旧の税理士が相互に連携して引継ぎを行なうわけではなく、自分たちで前任の税理士から新しい税理士に引継ぎを行わなくてはなりません。
会計データを前任の税理士からもらうことはできる?
税理士を変える時に会計データが必要なことは、税理士であれば把握しているものです。
新しく契約する税理士から必要な会計データを提示される場合もありますが、前任の税理士に伝えれば、一般的に必要な会計データを返却してくれるでしょう。ただし、データの管理方法やソフトの種類、前の税理士との関係性によって、スムーズさには差が出ることがあります。
たとえば、クラウド会計ソフトを使っていれば、新しい税理士にログイン情報を共有することで、すぐに会計内容を確認してもらうことができます。一方で、紙ベースや特定のソフトで管理している場合には、データの受け渡しに少し手間がかかることも。
また、前の税理士から提供されるデータは、主に以下のような形式になります。
- 会計ソフトのデータファイル(例:弥生会計、freee、マネーフォワードなど)
- PDFやエクセルで出力された総勘定元帳、仕訳帳、決算書
- 税務申告書の控えや届出書のコピー
新しい税理士は、これらの資料をもとに、あなたの経理状況や税務申告の履歴を確認し、これからのサポートに活かしていきます。
つまり、会計データの引継ぎがしっかり行われていれば、税理士を変更しても安心して業務を続けられるというわけです。
引継ぎに必要なデータとは?準備しておきたいもの一覧
税理士を変更するときに大切なのが、「どんな資料を新しい税理士に渡せばいいのか?」ということですよね。スムーズな引継ぎのためには、必要な会計データをあらかじめ整理しておくことがとても大切です。
ここでは、税理士変更の際に準備しておきたい代表的な資料を一覧でご紹介します。
- 過去の総勘定元帳・仕訳帳(最低でも3期分)
会社のお金の動きを記録した大事な帳簿です。できればPDFやエクセルデータで用意しておくと便利です。 - 決算書(貸借対照表・損益計算書など)
会社の財政状況を把握するために欠かせない書類です。過去の分もまとめて用意しておきましょう。 - 法人税・消費税などの申告書控え
税務署に提出した申告書のコピーです。電子申告している場合は、PDFデータでもOKです。 - 届出書類(青色申告の承認申請書など)
税務署へ提出した各種届出の控えも、新しい税理士にとっては重要な情報です。 - 使用している会計ソフトの情報
ソフトの種類、ログイン情報、使用プランなどをまとめておくと、引継ぎがスムーズになります。 - 給与関係の資料(年末調整、法定調書など)
従業員がいる場合には、給与支払関係の書類も忘れずに。 - 会社の基本情報(登記簿謄本、定款など)
- 法人名、代表者名、設立年月日などの基本情報も新しい税理士に共有しておきましょう。
上記以外にも、会社の規模や経営状態によって、渡すべきデータは異なります。
また、紙の形式か、データのどちらで渡すかも気になりますよね。
基本的にはデータでの受け渡しがベストです。メールやクラウドストレージ(Google Drive、Dropboxなど)を使えば、安全かつスピーディに資料を共有できます。
ただし、紙しかない場合でも問題ありません。税務署へ提出した書類など、一部紙の書類が混ざっている場合は、紙ベースのまま新しい税理士へ渡します。税理士がスキャンなどで対応してくれることが多いので、事前に相談してみましょう。
事前に準備をしっかりしておけば、税理士の引継ぎもぐんとスムーズになります。
「どこまで準備すればいいか不安…」という方は、先に新しい税理士に相談して、チェックリストをもらうのもおすすめです。
使用する会計ソフトが違っても会計データは必要?
税理士の変更のタイミングで、それまで使用していた会計ソフトも変わってしまう可能性があります。
同じソフトを使用していれば引継ぎはよりスムーズですが、会計ソフトが異なる場合があります。
中には、CSV形式のエクセルなどに変換したデータを渡すことでインポートが可能となる場合もありますので、会計ソフトの会社に問い合わせてみましょう。
クラウド会計ソフトを使っている場合の注意点
最近では、「freee」や「マネーフォワードクラウド」などのクラウド会計ソフトを使っている方も増えてきましたよね。こうしたソフトを利用している場合、税理士の引継ぎもぐっとスムーズになることが多いです。
ただし、いくつか注意しておきたいポイントがありますので、事前に確認しておきましょう。
ログイン情報の共有が必要
クラウド会計ソフトの場合、ソフトにログインしないとデータが見られません。
そのため、新しい税理士にログイン用のメールアドレスとパスワード、または招待権限を共有する必要があります。
例えば、freeeではアカウントに税理士を招待する機能があったり、マネーフォワードでは顧問税理士をしてアクセス件を付与可能になっています。
それぞれのソフトに応じた操作をしておきましょう!
権限設定に気をつけよう
招待時には「どこまでの範囲を見られるか」「編集できるか」などの権限設定があります。
顧問契約を結ぶ前に、どの範囲までアクセスしてもらうか話し合っておくと安心です。
また、前の税理士のアカウントが残っている場合は解除するのもお忘れなく。トラブル防止につながります。
データの確認・整理も事前に
クラウド会計といっても、入力ミスや勘定科目のズレなどがないとは限りません。
新しい税理士にスムーズに見てもらえるように、以下の点をチェックしておくと良いですよ。
- 取引の入力が途中で止まっていないか
- 銀行口座やクレジットカードとの連携がきちんとできているか
- 残高が実際と合っているか
契約プランの見直しもおすすめ
税理士がクラウド会計ソフトを活用するには、対応したプランに加入しておく必要がある場合もあります。プラン変更が必要かどうかは、税理士に確認しておくと安心です。
クラウド会計ソフトは便利な反面、操作に慣れていない方にとっては戸惑うこともあるかもしれません。
わからないことがあれば、遠慮なく新しい税理士に相談して、一緒に進めていきましょう。
社内に会計データがない場合の注意点
記帳などの日々の会計処理を自社で行なっていれば、会計データは自社で用意できますよね。
しかし記帳まで税理士へ丸投げしていた場合は、細かなデータもすべて前任の税理士から送ってもらう必要があります。
中には、解約されたことを快く思わず、会計データをなかなか渡してくれない税理士も…。
そんな場合でも、会計データは会社所有であり、本来税理士は依頼があれば速やかにデータを会社へ渡す必要があります。
データを渡してくれない税理士に対しては毅然と要望を伝えましょう。それでも渡してくれない場合は、税理士会などへ相談してみる方法もあります。
前任の税理士に不満があって税理士を変更する場合でも、トラブルの種とならないよう、穏便に解約することを心がけたいものです。
スムーズに引き継ぐための3つのポイント
税理士の変更は、ただ「人を替える」だけではなく、資料や情報のやり取りなど、いくつかのステップが発生します。
この章では、税理士変更をスムーズに進めるための大切なポイントを3つに絞ってご紹介します。
ポイント①:タイミングは“決算の前”がおすすめ
税理士を変更するベストなタイミングは、決算の数ヶ月前。
なぜなら、新しい税理士があなたの会社の会計状況を把握するためには、ある程度の準備期間が必要だからです。
決算直前のドタバタした時期に変更してしまうと、資料の確認や方針のすり合わせに時間が足りず、正確な申告やアドバイスが受けられないこともあります。
ポイント②:前の税理士との関係は円満に終える
意外と見落とされがちなのが、「今の税理士さんへの伝え方」。
後味を悪くしないためにも、契約終了の意志を丁寧に伝えることが大切です。
また、必要な資料をスムーズに受け取るためにも、トラブルを避けるコミュニケーションを意識しましょう。
ポイント③:新しい税理士としっかり話す
引継ぎがうまくいくかどうかは、新しい税理士との意思疎通にかかっています。
会社のこれまでの状況、困っていること、今後の希望などをしっかり伝えましょう。
初回面談では、これまでの経理や申告の方法や、現在使用している会計ソフト、今後の経営方針や目標などの内容を共有しておくと安心です。
この3つのポイントを押さえておけば、税理士変更は決して難しいものではありません。
「どう進めたらいいか不安…」という方も、まずは新しい税理士との相談から始めてみてくださいね。
税理士を変更する際は円満に解約することが大切
税理士の引継ぎに重要な会計データは、通常問題なく会社側へ渡されるべきものです。
しかしながら、コミュニケーション不足やトラブルなどにより、前任の税理士と連絡が取りづらくなることも。その場合、会計データを返してもらうのに手間がかかる可能性があります。
では、円満にやめるためには、どんなことに気をつければ良いのでしょうか?
解約の理由は慎重に伝えよう
解約する理由として、
「自社で対応することになった」
「税理士が不要になった」
といった嘘の理由を伝えてしまうと、会計データが必要ないものとして認識され、返却してもらえない場合もあります。
また、税理士を変更する際に「もっと条件の良い税理士が見つかった」など、わざわざトラブルの原因となるような説明をするのは避けましょう。新しい税理士へ引継ぎする必要があることは、しっかりと伝えたいところです。
「知人が税理士事務所を開業するため、応援も兼ねて変更することになった」など、当たり障りのない理由を伝えて、円満に解約するようにしましょう。
解約のタイミングに注意!
税理士との契約には、たいてい「月次契約」や「年間契約」があります。
途中で解約すると、解約金や月額料金が発生する可能性も。まずは契約書を見直してみてください。
また、「今月で辞めます」ではなく、1~2ヶ月前には伝えるのが理想的です。
資料の受け渡しルールを確認しておく
税理士が管理している書類やデータは、原則として依頼主(あなた)のものです。
ですが、「引き継ぎ用にデータをまとめてもらえるか」「どの形式で渡してもらえるか」といったことは、事前にしっかり確認しておきましょう。
会計データのファイルなのか、PDFでの帳簿や申告書なのか、紙の書類なのか確認しましょう。
第三者に相談するのもアリ
もし、どうしても直接話すのが気まずい、あるいはトラブルが心配…という場合は、新しい税理士に相談して、間に入ってもらうのもひとつの方法です。
プロの立場から、スムーズな引継ぎの段取りをサポートしてくれることもあります。
税理士変更は、「言い出しにくいな…」と感じる方も多いですが、誠実に対応すれば大きな問題になることは少ないです。
丁寧なやりとりで、気持ちよく次のステップに進んでいきましょう。
税理士変更にかかる費用やタイミングについて
「税理士を替えるときって、お金はどれくらいかかるの?」
「いつごろ変更するのがベスト?」
そんな疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、税理士変更にかかる費用や、最適なタイミングについてわかりやすくご説明します。
税理士変更にかかる主な費用
基本的に、税理士変更そのものに“手数料”がかかることはありません。
ただし、以下のような費用が発生する可能性があります。
- 既存の税理士との解約に伴う料金(途中解約金など)
→ 契約書に記載されている内容を要確認です。 - 資料の整理・引継ぎのサポート費用(新しい税理士側)
→ 必要に応じて「初期費用」として請求される場合があります。 - 顧問契約の初月費用や年額契約料
→ 新たな顧問契約を結ぶ際に発生する通常の費用です。
いずれにせよ、事前に見積もりを取ってから契約することが大切です。費用に関して不明点がある場合は、遠慮せずに確認しましょう。
ベストなタイミングは「決算の2〜3ヶ月前」
税理士変更のおすすめタイミングは、決算の2〜3ヶ月前です。
この時期であれば、新しい税理士が会社の状況をしっかり把握したうえで、決算や申告業務に対応できます。
また、以下のようなタイミングもおすすめです。
- 前の税理士との契約期間が終わるタイミング
- 会計年度の区切り(期首)
- 新しい事業計画をスタートさせたいとき
反対に、決算直前や申告期限ギリギリでの変更はおすすめできません。準備が間に合わず、正確な処理が難しくなることもあります。
「思い立ったが吉日」もひとつの考え方
もちろん、状況によっては「今すぐ変えたい!」ということもあると思います。
その場合も、まずは新しい税理士に相談し、対応できるかどうか確認してみるのが安心です。
親身になって相談にのってくれる税理士であれば、現状を聞いたうえで無理のないスケジュールを提案してくれるはずです。
税理士の変更は、費用やタイミングをきちんと把握しておけば、それほど難しいものではありません。
大切なのは、「信頼できるパートナーと安心して仕事ができるかどうか」。
その第一歩として、じっくり比較・検討してみてくださいね。
関連記事:「税理士を変更するときのベストなタイミングは?メリットや注意点を解説!」
新しい税理士を選ぶときのチェックポイント
「せっかく税理士を変更するなら、次こそはしっかり信頼できる人にお願いしたい」
そう考えるのは当然ですよね。
ここでは、新しい税理士を選ぶときにチェックしておきたいポイントをいくつかご紹介します。
迷ったときの参考にしてみてください。
話しやすいか、相談しやすいか
一番大事なのは、あなたが「この人なら安心して相談できそう」と思えるかどうかです。
税理士は数字を扱うだけでなく、経営の悩みや不安にも寄り添ってくれる存在。
性格や相性も、意外と大きなポイントです。
初回の面談では、
- 質問に丁寧に答えてくれるか
- 専門用語ばかりでなく、わかりやすく説明してくれるか
- 自分の話をしっかり聞いてくれるか
といった点をチェックしてみましょう。
自分の業種に詳しいか
税理士にもそれぞれ得意分野があります。
たとえば、飲食業や建設業、IT系など、業種ごとに税務のポイントは異なります。
「自分の業種に強い税理士かどうか?」を確認すると、より実務的なアドバイスを受けられる可能性が高くなります。
実績やサポート事例を聞いてみるのもおすすめです。
クラウド会計ソフトに対応しているか
もし今後も「マネーフォワード」や「freee」などのクラウド会計ソフトを使いたいと考えているなら、そのソフトに詳しい税理士かどうかも重要なポイントです。
導入支援や運用サポートを行っている税理士事務所であれば、効率よく経理業務を任せられるはずです。
料金体系が明確か
税理士報酬は事務所ごとにさまざまです。
「あとから高額な費用を請求された…」ということがないように、料金表が公開されているか、見積もりが明確かどうかを必ず確認しましょう。
また、月額顧問料や決算料、年末調整や確定申告の料金など、どこまで含まれているかもきちんとチェックしておくと安心です。
無料相談を活用しよう
多くの税理士事務所では、初回の無料相談を行っています。
いきなり契約するのではなく、まずは話を聞いてみて、自分に合いそうかどうかを見極めましょう。
複数の税理士と比較することで、より納得のいく選択ができますよ。
税理士は、あなたの事業をサポートしてくれる大切なパートナー。
料金だけで決めるのではなく、「信頼できる人かどうか」を大切に選んでみてくださいね。
関連記事:「税理士を変更した場合に考えられるデメリットと対処法を解説!」
まとめ
税理士を変更する際には、税理士同士が同席して引継ぐことはなく、会計データを渡すことで引継ぎを行います。
自社で記帳している場合はスムーズにデータを渡すことができますが、記帳代行まで依頼している場合には、必要な会計データを解約前に返却してもらわなければなりません。
後でトラブルにならないように、税理士を変更する際はできるだけ円満に解約するようにしましょう!
当熊本創業融資相談室では、「税理士変更サポート」も承っております。
ご相談も初回は無料となっておりますので、もし税理士変更をご検討の際には、お気軽にご利用くださいませ。
\お気軽にお問合せください☻/
